早野忠昭 × HYDE

この度、最新アルバム「ANTI」をリリースし、国内はもとより、アメリカやアジアで精力的なライヴ活動を続けるHYDEさんと早野チーフオフィサーという、まさかの組み合わせでの対談が実現。実は隠れランナーだったことを本対談で初告白したHYDEさん。ランニングをどのように日常に取り入れているのか、そして、ランニングから何を得ているのか。大きな転換期を迎えたキャリアのことも含めて、お話を伺いました。

早野忠昭

早野忠昭(はやの ただあき)

1958年生まれ。長崎県出身。一般財団法人東京マラソン財団事業担当局長・東京マラソンレースディレクター、日本陸上競技連盟総務企画委員、国際陸上競技連盟ロードランニングコミッション委員、スポーツ庁スポーツ審議会健康スポーツ部会委員、内閣府保険医療政策市民会議委員。1976年インターハイ男子800m全国高校チャンピオン。筑波大学体育専門学群卒業後、高校教論、アシックスボウルダーマネージャー、ニシ・スポーツ常務取締役を歴任。

HYDE

HYDE(ハイド)

L'Arc-en-Ciel/VAMPSのヴォーカリスト。メジャーデビュー以降、多くのヒット曲を生み出す。2001年からソロ活動をスタートし、日本のみならずワールドワイドに活動している。ニューヨーク Madison Square Gardenや国立競技場などでのライヴ実績もあり、日本において最も世界で活躍しているアーティストの一人。2019年5月に最新ソロアルバム「ANTI」をリリースし、積極的にライヴ活動を展開中。

最初に走った記憶

早野 ■
まずHYDEさんとの対談が決まり今日を本当に心待ちにしていました。音楽の業界と僕らランニングの業界が、交われるいい機会だと、楽しみにしていたんですよ。ちなみにHYDEさんも、学生の頃に体育で絶対走らされていたと思うのですが……。
HYDE ■
大嫌いだったんですよ(笑)。ひたすらしんどい。
早野 ■
まるで罰ゲームのようですよね(笑)僕も宿題を忘れたりしたら、「走って来い」って言われた記憶があります
HYDE ■
そう。でも実は、マラソン大会に向けての練習会で1回だけ1等になったことがあるんです。クラスの中での話なので、全然大したことではないのですが。
早野 ■
じゃあもともと長距離が得意だったんですか?
HYDE ■
いや、普段は遅かったんですよ。
早野 ■
短距離だと速かったとか?
HYDE ■
短距離も人並みです。関係あるのかわからないけど、当時の少年漫画雑誌の裏に、鍛えるための“重り”の広告があって。その影響で、一時期足に重りを付けて生活してたんです。片脚ずつ2、3キロをつけて1週間くらい。で、マラソン大会前に、試しに外してみたら、めちゃくちゃ体軽くて。
早野 ■
そのトレーニング、効果絶大ですね。
HYDE ■
もうね、月の上飛んでるみたいな感じ。それは今でも覚えてます。僕のクラスにはいつも1位になるような速い子もいたのに、その子より速かったですからね。

早野忠昭 × HYDE

ロッカーが走る

早野 ■
ちなみに今、ライヴ前のトレーニングメニューで走ったりもされますか?
HYDE ■
これね、あんまり言ってこなかったんですけど、もういいかなと思って、言いますね。実は僕、隠れランナーなんです。
早野 ■
そうなんですね!
HYDE ■
以前は、ロックは健康的であっちゃいけないって思ってたんですけど、逆にずっとグータラしてるロッカーを見たりすると、だんだん腹立ってきちゃって(笑)。自分はちゃんと身体を管理しようと。もう言ってもいいんじゃないかなと思いますね。
早野 ■
どんどん言ってください(笑)。
HYDE ■
拠点にしているアメリカでもタイミングあれば走りますし、東京でも実は走っています。そんな速くはないですけど、ゆっくり1時間位。
早野 ■
1時間走るって、立派なランナーですよ。7、8キロは走ってますもんね。
HYDE ■
でも、週に2回ほどです。
早野 ■
それでも充分ですよ。
HYDE ■
アメリカのロッカーには太ってる人も多いんです。若いうちはいいんですけど、歳を取るとね。僕はそのイメージを引きずりたくなくて、陰で走っていました。
早野 ■
走ることに対して、ロッカーとしてかっこ悪いって思いもあったとか?
HYDE ■
健康に気を遣うっていうのがね(笑)。嫌だったんですけど、今は逆に自分を管理してる方がかっこいいなと思い始めてきているので。だから、今日は良いタイミングだと思って、言っちゃいました。
早野 ■
今日が本当に初めて公言した日なんですよね?
HYDE ■
そうです。
早野 ■
おお。HYDEさんがランナーだと分かった、記念すべき日になりましたね。

走ることがもたらす変化

早野 ■
走られてから、自分の中で変わったことはありますか?
HYDE ■
やっぱりスタミナがつきました。僕は激しいライヴをやるほうなので、1番実感するのはそこですね。他には身体のシェイプアップ……あと優越感みたいなのもあるかも。
早野 ■
それは僕もよく感じることで。走ることで「頑張ったんだ」と自分を褒めてあげたくなる。自分を好きになれますね。
HYDE ■
そうですね。「普段ぜんぜん走ってない、運動もやってないやろうな」みたいな人を見ながら優越感を感じることもありますし(笑)。ある種の自己肯定かも。
早野 ■
なるほど、わかりますよ。
HYDE ■
しかも、今はそんなに無理してやってるわけじゃなくて。走れる時に、走れる範囲で、楽しく走っています。