早野忠昭 × 堀江貴文

JAAF RunLinkアドバイザーである、実業家の堀江貴文さん。ランニングをはじめ、トライアスロンやスノーボードなどさまざまなスポーツに取り組むと同時に、スポーツビジネスや医療ビジネスにも進出。類まれなる経営センスと幅広い知識を持った堀江さんに、ランニングに秘められたさまざまな可能性を語っていただきました。

早野忠昭

早野忠昭(はやの ただあき)

1958年生まれ。長崎県出身。一般財団法人東京マラソン財団事業担当局長・東京マラソンレースディレクター、日本陸上競技連盟総務企画委員、国際陸上競技連盟ロードランニングコミッション委員、スポーツ庁スポーツ審議会健康スポーツ部会委員、内閣府保険医療政策市民会議委員。1976年インターハイ男子800m全国高校チャンピオン。筑波大学体育専門学群卒業後、高校教論、アシックスボウルダーマネージャー、ニシ・スポーツ常務取締役を歴任。

堀江貴文

堀江貴文(ほりえ たかふみ)

1972年生まれ。福岡県出身。SNS media&consulting 株式会社ファウンダー。現在は宇宙ロケット開発や、スマホアプリ「TERIYAKI」「755」「マンガ新聞」のプロデュース、また予防医療普及協会としても活動するなど幅広く活躍。

運動、そしてランニングは
時代に求められている

「人生100年時代」だからこそ、ランニングがますます大事に

早野 ■
堀江さんは走ることの重要性をどう感じていますか?
堀江 ■
僕は予防医療普及協会という一般社団法人を設立して理事をしていますが、そこで大事にしていることが幾つかあります。そのひとつがスポーツです。今は「人生100年時代」と言われていますが、この時代に大事なのはボケないことであり、そのためにもスポーツがポイントになります。むしろ、なぜこれまでスポーツにフォーカスして来なかったのか不思議なくらいです。ただ、ほとんどの人は、びっくりするくらい運動していないんですよね。
早野 ■
堀江さん自身はトライアスロンを始め、さまざまなスポーツをされていますよね。
堀江 ■
ええ。おそらく日本の経営者の中では相当運動している方じゃないかと思います。僕は贅沢をしていて、お酒をたくさん飲んでいるようなイメージを持たれていて、よく「痛風じゃないんですか?」「肝臓の数値は大丈夫ですか?」と聞かれるんですけど(笑)、尿酸値も肝機能値もまったく問題ありませんから。
早野 ■
やはり運動の影響が大きいんでしょうか?
堀江 ■
そうだと思います。トライアスロン以外にも、筋トレやスノーボード、ゴルフなどもやっています。そうしたスポーツをするようになったのも、いろいろな友人が誘ってくれたことがきっかけで、それはすごく恵まれていたと思います。それと、運動をすることはビジネスにも役立つと思うんですよね。
早野 ■
ただ日本の場合、学生時代から運動をしてきた人でも就職をしてしまうと運動をしづらい状況になってしまいませんか?なかなか時間が取れませんし、健康であることが会社には評価されず「運動は君が好きでやっているだけだろう」と言われてしまう。
堀江 ■
そうなんですか?僕はもともとそういう企業・社会にいませんでしたし、独自にいろんなことをやってきたので。でも、企業としてスポーツに投資をするのはとても理に適っていると思います。以前、予防医療普及協会のイベントで産業医の大室正志さんと対談をしたのですが、彼から「企業によって平均寿命が大きく違う」という話を聞きました。かつてそのような統計を取っていた時代があり、「A社とB社では平均寿命が7年も違う」というデータを確認できていたそうなんです。今は個人情報に厳しい時代なのでそうした統計は取っていないみたいですが、当然、健康で長生きできる企業に入りたいというニーズは高いはずですよね。ではどうやってスポーツをしていくのか。まず大事なのはきっかけづくりです。先ほども話したように、僕の場合は背中を押してくれる友人がたくさんいたんです。例えばスノーボードだと、世界選手権に出場する友人がいて、その人から「一緒にやろう」と誘われて、ボードや靴など全部用意してくれたんです。ただ、そういったきっかけづくりは一般的には難しい。だから運動会などをやるのもいいんじゃないかと思っているんですよね。
早野 ■
社内運動会ですか?
堀江 ■
ええ。社内運動会をプロデュースする企業もあるので、やってみると盛り上がると思いますよ。

コーポレート・フィットネス推進の鍵は「健康偏差値」にある

早野 ■
JAAF RunLinkでは、コーポレート・フィットネスの推進をしていきたいと考えています。ただ、先ほども触れたように、現在は健康であることが企業では評価されにくい状況にあります。例えば人事考課でも、企画力や指導力といったものは評価対象になりますけど、健康であるからといってなかなか評価はされませんよね。
堀江 ■
であれば、企業ミシュランのようなものをつくってしまえばいいんじゃないですかね。僕が今、コンサルティングをしている会社では、「恋愛四季報」という形で企業ごとの恋愛(モテ)偏差値をつけているんです。合コンなどで「この会社の人はトークが面白かった」「この会社の人は地味だった」といったな情報を見ることができるもので、結構おもしろいんですよ。もし自分が就活生だったら、恋愛偏差値の高い会社に行きたくなるでしょ?
早野 ■
そうかもしれません(笑)。
堀江 ■
それと同じように、企業の健康偏差値をつければいいんですよ。独自に調査して「この会社は運動をしていない人が多い」とか「この会社はアスリート比率が高い」とか、「この会社に入ると寿命が10年縮みます」みたいに書かれている(笑)。いずれ、絶対に就職に関連してきますよ。今は優秀な学生を採用するために大枚はたいている企業も多いですけど、実はこういった健康偏差値や恋愛偏差値を上げていけば、自ずと学生は入ってくるはずです。だからRunLinkで勝手に格付けしちゃいましょうよ(笑)。
早野 ■
いいですね(笑)。でも、そういうことですよね。経営者はそうした指標を気にしますし、逆に「スポーツをせよ」と訓示を述べたり、トップダウンでお達しを出しても、なかなかやりませんからね。