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重松大輔 × 早野忠昭

SPECIAL ISSUE
第1回
重松大輔 × 早野忠昭

貸し会議室から空き家、野球場まで、全国12000件以上のスペース情報を掲載し、時間単位で貸し借りできるプラットフォムサービス「スペースマーケット」。ビジネスからプライベートまでさまざまな用途で活用されており、現代の空き家問題といった課題解決の糸口にもなるとして注目を集めています。今回は、JAAF RunLinkの賛助会員でもある株式会社スペースマーケットの代表取締役・重松大輔さんに、スペースの活用とランニングの結びつき、そしてRunLinkとの取り組みに込める思いについてお話を伺いました。

重松大輔

重松大輔(しげまつ だいすけ)

1976年千葉県生まれ。 株式会社スペースマーケット代表取締役CEO。早稲田大学法学部卒。2000年NTT東日本入社。主に法人営業企画、プロモーション等を担当。2006年株式会社フォトクリエイトに参画。新規事業等に従事。国内外企業とのアライアンス実績多数。2014年1月株式会社スペースマーケットを創業。 住宅、会議室、スポーツ施設、お寺、古民家、無人島など、あらゆるスペースを貸し借りできるマーケットプレイスを展開。2019年12月に創業からわずか5年で東証マザーズに新規上場を果たす。

早野忠昭

早野忠昭(はやの ただあき)

1958年生まれ。長崎県出身。一般財団法人東京マラソン財団事業担当局長・東京マラソンレースディレクター、日本陸上競技連盟総務企画委員、国際陸上競技連盟ロードランニングコミッション委員、スポーツ庁スポーツ審議会健康スポーツ部会委員、内閣府保険医療政策市民会議委員。1976年インターハイ男子800m全国高校チャンピオン。筑波大学体育専門学群卒業後、高校教論、アシックスボウルダーマネージャー、ニシ・スポーツ常務取締役を歴任。

「場を提供し、自分なりの楽しみ方を見つけてもらう」という形

新しいランニング文化が生まれた瞬間を目の当たりにした

早野 ■
まずは、スペースマーケットさんの取り組みについて教えていただけますか?
重松 ■
スペースマーケットは2014年に創業いたしまして、スペースのシェアリングのビジネスをやっております。スペースを貸したい人と借りたい人を、我々のプラットフォームでマッチングするというサービスです。
早野 ■
サービスを始められたきっかけは何だったのでしょうか?
重松 ■
私は前職時代に株式会社フォトクリエイト(写真サービス事業を行う企業。マラソン大会での写真撮影・販売なども手がける)にいまして。そこでさまざまなイベントに関わるなかで、会場探しが難航したり、そのまま会場が見つからずにイベントが中止になったりする様子を目の当たりにしてきました。それから、ウエディング事業を立ち上げた経験もあって、「平日に空いている結婚式場を有効活用できないか」いという声を聞くことも多くあったんです。そこで、スペースの需要と供給を満たせるようなプラットフォームをつくろうと、サービスを立ち上げました。今では、お城や古民家なども含めたさまざまなスペースが登録されています。
ちなみにじつは私、フォトクリエイト時代に東京マラソンの現場に初回からいたんですよ。
早野 ■
そうだったんですね。初回は雨が降って、ものすごく寒い日でした(笑)。
重松 ■
そうですよね。今でもよく覚えています。みなさん雨除けの被り物をしているから、ナンバーカード(ゼッケン)が見えにくかったりして(ゼッケン番号を入力することでランナーは自分の写真を検索し、購入することができる)……大変だった記憶があります(笑)。
早野 ■
東京マラソンを間近で見られて、いかがでしたか?
重松 ■
ランニングの多様な楽しみ方が提示された、初めてのマラソン大会だったなと認識しています。マラソンや、ランニングに対するイメージがガラッと変わったというか……。私自身はそれまでにも仕事でいろいろなマラソン大会を見ていて、ポテンシャルがあるなとは思っていたんです。でも、やはりストイックなランナーが多い印象だったので、2007年の第1回東京マラソンには本当に劇的な変化を感じました。日本で、“Fusion running”の新しいランニング文化が生まれた日だったと、現場で見ていて感じましたね。

重松大輔 × 早野忠昭

走ることに、新しい付加価値を

早野 ■
重松さんがRunLinkのキーワードでもある“Fusion running”を知ってくださっていて、うれしいです。“Fusion running“自体は、20年以上前につくった言葉なんです。そのころは、スポーツをする人は、その世界の中で、とにかくストイックに取り組むことが当たり前の時代でした。当時から市民ランナーの存在もありましたが、まだ広く浸透はしておらず、ランナーのコミュニティがあっても「健康のために走る会」のようなスタイルが主流だった。僕はたまたまアメリカに住んだ経験があったので、走り終えた後のビールがおいしいとか、音楽を聴きながら走ることでつらさが軽減するとか、記録を狙う以外の楽しみ方を見てきて。そうやって、自分なりの楽しみ方を見つけて走ることを、“Self-edited running“(自己編集のランニング)と呼んでいたんです。
重松 ■
私も、シアトルのロックンロールマラソンに出たことがあって。あれはまさに音楽とランニングが融合した体験で、衝撃でした。
早野 ■
走り終えたあとはもちろん気持ちが良いし、僕たちはランニングの良さを知っているけれど、やっぱり走っている最中はきついこともあるじゃないですか。そういった面を和らげながら、新しい付加価値を持たせてくれるのが、音楽だったり、ビールだったりする。それを踏まえて、東京マラソンの場合は「ステージはこちらで提供するから、それぞれのドラマは自分でつくってください」、と。
重松 ■
「場所は提供するけれど、使い方は自由」という考えは、スペースマーケットも共通しています。
早野 ■
そうですね。そんな考え方も、“Fusion running“という言葉も、RunLinkを立ち上げてやっと日の目を見てきたように感じています。重松さんにも最初にこの言葉の話題を出してもらえて、うれしい限りです。

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