こちらではJAAF RunLinkのアドバイザーに就任された
茂木健一郎さんのコラムをご紹介します。
脳科学者、茂木さんの考える「ランニング」とは・・・
ランニングコラム02
茂木健一郎(脳科学者)
長年のランナーとしてはっきりと実感していることは、走ると脳がすっきりするということだ。
いわゆる「ランナーズハイ」と呼ばれる爽快感は、エンドルフィンや、フェネチルアミンなど、
さまざまな脳内物質が放出されることで生み出されることが示唆されている。
そのような働きに加えて、脳の回路の働きもランニングによって促進される。
特に、脳がアイドリングしている時に活性化されるデフォルト・モード・ネットワークの活動が注目される。この回路は、脳が特定の課題に取り組むのではなく、いわば「ぼんやり」している時に働き始め、記憶を整理したり感情を整えたりする機能があると考えられている。
現代人は普段、常にパソコンやスマホなどを通して大量の情報に接している。
そのため、多くの記憶が未整理のまま脳に残ってしまう。
ランニングをしているときには、そのような情報機器から脳が切り離される。
ゆったりと景色を楽しみながら走っていると、いわば走りながら「座禅」をしているような、
すなわち「走行禅」とでも言うべき状態になる。
デフォルト・モード・ネットワークの働きで、記憶が整理されて、気持ちもすっきりするのだ。
私にとって、時間が許す限り一日に10キロ走るという習慣は、脳のメンテナンスにとって不可欠なものになっている。走ってこそ、忙しい毎日をストレスを溜めることなく乗り越えていくことができるのだ。
忙しいから走れないのではなく、忙しいからこそ走る。
そのような意識の切り替えが必要だと思う。
ランニングは、脳のメンテナンスのために大いに役立つ生活習慣なのだ。
ランニングをしていると、
心身ともに整理されてスッキリする。